Concert

2013年9月アーカイブ

不思議な縁

| トラックバック(0)


素敵な思い出を残したトレポール。東京でもパレー、ドビュッシーを弾いた。 
 

パレー協会会長を務めるカボン氏。実はパレー氏のお孫さんだ。彼が薦めた「海の上で」を先日のコンサートで弾いた。生まれ育ち、書かれた曲の発祥地でその曲を演奏する気持ちは言い尽くせない。 

同じ日のプログラムで安田芙充央氏の「花曲」と「ラブ・シーン」の二曲を演奏。録音を聴いたカボン氏の願いだったこともあり、弾いた。 
ソーシャルサイトにてこの日のスナップショットを載せたところ、安田氏のコメントを頂いた。パレーの指揮したシャブリエ作曲「スペイン」の演奏を、レコードで15歳のときに聴いたのが、音楽への開眼のきっかけだったそうだ。 パレー氏は指揮者であった。戦後アメリカで特に名声を成した。戦時中フランスで自分の振っていたフランスのオーケストラの団員にユダヤ人が何人かいた。そのなかの第一バイオリン奏者がナチスより召集令状〔というのだろうか〕を受け取り、収容所へ送られることがわかると、その前夜にバイオリン奏者がソロパートを務める曲をパレー氏がプログラムに組み、餞別の演奏会を行った。 

その翌日パレー氏は辞表をオーケストラに出す。そして渡米、アメリカでデトロイト交響楽団の指揮者となる。 
フランスの戦時下パレー氏が抵抗したエピソードだ。 

このエピソードを綴った日本の音楽評論家の本を、この東京のリサイタルで、ある音楽愛好家のかたから頂いた。是非この章を読んでくださいとのことだった。ありがたく思う。 

さて、パレーの孫に当たるカボン氏。トレポールに来てくれた異母兄弟でパレーの甥孫のジャックさんとも良く知り合いである。パレー氏はユダヤ系の女性と再婚している。ユダヤ人の母を持ったのはジャックさんだろう。その先妻にあたる方の息子さんがカボン氏だ。 

さて安田氏の話からそれてしまったが、ソーシャルサイトでカボン氏は「リサイタルで安田氏の曲を紹介してくれてありがとう。素晴らしい曲だ」とメッセを下さった。 
安田氏は「自分が音楽に進むきっかけとなったのはパレー指揮のシャブリエ作曲「スペイン」の演奏録音を聴いたこと。パレーが作曲もしていたとは知らなかった。君のおかげです」とこれはまたびっくり! 

なぜなら私は 奇遇にも同じプログラムで、安田氏の曲と、パレー氏の曲を演奏し、それを子孫にあたるジャック・パレー氏と、ジャン・カボン氏が聴いたからである。 

安田氏に「カボンさんが、安田氏の素晴らしい曲を紹介してくれてありがとうと言っています」と伝えたら、安田氏の喜びようは大変なものだった。 

私にとっては点と点がつながったひとつの驚くようなエピソードだ。 

安田氏はこの秋、ボルドー、ドイツでの公演〔ピアニストでもあり、自らのトリオを率いてくる)を控え、CDがドイツのレーベルから発売。 
私とは昔ひょんなきっかけでジャズクラブで知り合いになり、ジャズを教えていただいたこともある。 

彼の音楽への道はポール・パレーの指揮演奏がきっかけだったとは、全く想像しなかったし、私もパレー氏の曲をある知人を通して演奏を頼まれ、それ以来この家系の方がたと知り合いになったという奇遇な話です。 

本当にどんな縁が人生にはあるか、分からない。 

安田氏のサイト http://www.fumioyasuda.com/japanese/column.html 

左・ポール・パレー 
真ん中・パレー氏の故郷での演奏会にて 
右・同日ジャック・パレー〔左〕とジャン・カボン〔右)氏