Concert

2012年2月アーカイブ

見たら郵便受けにギリシャから二通封筒が。 

一通は私が送ったMinidiscを作曲家のニコス・ハリザノスが返却してくれたもの。もう一通はCD版に録音を立ち上げてくれたもの。 

CDは2月11日のパリのスコットランド教会の録音。比較的良い音で録れている。CDもMDの音に忠実。 いつもこうして彼はCDにしてくれて助かる。 

このコンサートでは石井さんとのデュオで、風邪を患いながらも見事に歌い上げた彼女にブラヴォー。喝采も惜しみなかった。 

私のフランス初演、ニコスさんの「ホワイト・ララバイ」の演奏も本人が録音を聴いて大変喜んでくれた上、パリのお客様にも好評だった。新しいものに開かれているのがパリの聴衆だと思う。 
白鍵だけで書かれているのでホワイト。途中音が飛ぶのとリズムのとり方が変則的なのが、結構難しく練習でも苦心した。 
作曲家本人に聴いてもらうのは大変緊張するが、幸いな事に気に入ってくれたようだった。 
彼は大変親切で丁寧な人、まるで日本人の生まれ変わりのような人だ。 

出来れば実際に来てもらって直接聴いていただきたかったが、彼もそう思ったようで「飛行機で飛んできたかった」と手紙に書いてあった。 

ソプラノの石井さんもこのCDの演奏の事を褒めたら大変喜んでくれて、未だにまるで百日咳のような風邪を患っているのだが「病気などに負けていられるか」 と思った、とメールにあった。 

良かった。演奏家にとって演奏の出来具合のよしあしがモラルを左右する。彼女はコンサートの録音を自分で聴いていないので、疲労と脱力感があったのではないかと思う。周りの意見も大変重要だし、気になるところだ。私のCDについてのコメントで、勇気百倍になったようだ。 

舞台でとても堂々としているように見えても、自信を持つのは難しいのがこの職業ではないかと思う。 
それに二人であわせるのは二回だけだった。お互い良く準備していたのでそれですむのだ。でも当日の状態ではとても心配だった。私自身の独奏も上手くいくかどうか実は余り自信がなかった。 
急遽時間の都合で追加した曲が3曲もあったからだ。ピアノの状態も消して素晴らしいとはいえないものだった。調律師が遅れてやってきて、調整が十分ではなかった。 

このように本番当日何が起こるかわからない事も含め、準備をするものなのだと、最近思う。謙虚にならざるを得ないのがこの仕事ではないかと思う。 
石井さんと「これからも共演していこう」ということになったし、良く理解しあえる共演者というのは貴重だと思う。 
ニコスさんには「これからこの曲を日本でも初演してよいか」どうか訊いたら驚くほど喜んでくれて、嬉しい。曰く曲が私のピアノの音に合っているのだそうだ。 


フルートのデュオのイザベルと土曜日にあわせることになった。お互い遠いし、彼女のアパートにはピアノがない。と言う事で彼女の「第二の家族」のお宅を使わせてもらうことになった。 

あり難いことに、この家族はイザベルが居候していたことのある友人の家庭で、彼女が声をかけたら場所提供を申し出てくれたのだ。もちろんピアノあり。 

まさに「システムD」(何とかお金を倹約してやりくりする)フランス人のやり方。 

私はパリに行く予定だったからスタジオで合わせるつもりで出費を負担する事を覚悟していたのに、底で妥協しないフランス人魂を見た。 

彼女に言わせると「一時間10ユーロ払って2時間スタジオを借りるのだったらボーヴェのマサエの自宅に行って往復しても同じ費用。」 
確かにごもっとも。 

そういえばヴァイオリンと合わせをしたとき昨年D君は自分の生徒さん宅を使わせてもらった。これも同じようなケースだ。 

出さなくてもすむ出費は何とかして別の解決策を見つける点とてもフランス的だと思った。 
ところでピアノのパートが難しい曲が多い。何だ!と思ったがもう後に戻れず、今から必死。 

レパートリーが広がりよい勉強になるのでとてもありがたい。 

ところでこの上の曲もプログラムの一部だが、映像がなかった。 

2012/4/6 パリ・フルート&ピアノデュオリサイタル 18:30開演
バルボット成江 pf イザベル・パレ フルートイメージ 3
ラヴェル、ドビュッシー、プーランク、コネッソン、デュティリュー
Theqtre de l'ile Saint Louis
15ユーロ・10ユーロ  予約TEL 01 4633 4865 
イザベル・パレ公式サイト http://isamusic.tumblr.com/



先日のパリスコットランド教会でのコンサートでは、沢山の方から感想をいただきました。

デュオとして、これで3回目の演奏になります。だんだんとレパートリーも増え、またこれからの機会が楽しみです。

ピアノのリサイタルに前回いらして下さったある方 「大変素晴らしいコンサートを有難う。ソプラノの声は素晴らしかった。ピアノにもブラヴォーを言いたいです、とりわけケージは大変良かった、この曲はお好きなんですか。性格があって、僕の妻のオフェリアと同じ題。」 
若い仏人男性 「オーケストラ版でのアリアの演奏をよく聴いていますが、ピアノがとても忠実に曲に沿っていて、良かった。有難う」
ある仏人女性DJ 「演奏会の録音CDを3枚持っています。毎回どんどん良くなられているわ。素晴らしい。以前はアカデミックな弾き方だったのが、表現力がますます強くなっている」

その他のコメントを 石井友子さんがブログでアップされています。http://tsmylpj.exblog.jp/14667934/


演奏会直前には色々なハプニングがつきものだ。 

今朝友子さんからのメールで「喉の調子が相変わらず悪く、薬が効かないので、ピアノのパートを少し増やしていただけますか」という内容のメッセージが。 

当日の朝にそれはすごい。急遽知っている数少ないすぐに弾ける曲を何曲かさらってみた。 
そのうちの結局モーツァルトのソナタのうちのある第二楽章と、ドビュッシーの曲2曲、念のためジャズ系の曲も一曲。あとまだ足りなければ・・ショパンか、即興にしようと決めた。(結局全部は弾かずに済んだのだが) 

決めても彼女自身その場で歌ってみないとどう状況が変化するかは分からない。 
だからもういい加減にルーズに決めて、休んでから、夫の車で出発した。 

彼女自身も大変だ。良く分かるから、その辺は臨機応変と肝に銘じた私。 

朝から 強壮剤のような錠剤を飲み、マグネシウムとヴィタミンをサプリで服用、それと筋肉痛と関節痛に効く軟膏を手に塗った。 

指先が割れて(寒かったので)いるのは目をつぶり、左手のやけどのあとが痛いので、絆創膏を貼る。 

譜面はもしかしたら歌のほうで二曲ほど変更になるかもしれない。彼女の選曲に従い、その二曲を用意。 

あっという間に時間は経つも、自分の練習は余りする暇がなかった。 

会場にはすでに担当のPさんがいたが、調律師と電話のやりとりに誤解があったらしく、18時半にしか来られないという。18時からあわせるつもりだったが、友子さんも遅れてくるというので自分ひとりのリハでスタート。 

調律前のピアノで、がたが来ていた鍵盤がひとつ。その他の鍵盤も何となく不ぞろいなタッチ。 

人がいない会場で弾くのと、本番で弾くのとまた全く音もタッチも変わるものなので、適宜さらって終えかけると友子さんが。 

急遽歌の合わせをする。それにしてもつらそう。調律師が後から来る。もうその後弾いて確かめる時間はない。 

大丈夫かなと楽屋で咳きしていた彼女を見て心配したが、どうしてどうして。 
本番では最初のWally からダイナミックに朗々と歌うのでびっくり。トスカも堂々とした演奏。 

ピアノのほうが曲が増えて一部をモーツァルトで始めた。ラヴェルの途中で指が鈍く感じた。が何とか最後まで弾き切れた。この曲が実は舞台で演奏するのは初めてだったのだ。ドビュッシーのエチュードほうはこれは急遽選んだせいもあるだろう、早いパッセージで多少はずした。まあそれでも大勢に影響はなし。亜麻色の髪の乙女を弾き拍手に送られて退場。 

一部無事終え、間食をし、二部へ入るとハリザノスのフランス初演もの。これは何とか自分の思うようにほぼ弾けたのでお客様の反応もとても良かった。 
また、日本の比較的モダンな歌曲と、デュパルクのメロディーの彼女の演奏もとても良く、私自身大変充実を味わった。 

ジョン・ケイジを弾くのは少々異色だったがお客様にはインパクトもあり楽しんでいただけたようであった。ブラヴォーも頂きそんなに良かったかなと思ったが、きっと面白かったのであろう。 

自分に合っていると思っていなくても合っている曲なのかもしれない。 

締めくくりにマスネーのオペラのアリアと、ベルリオーズのオペラのアリア。この二曲がまたすごい。今回が一番出来が良かった。 
私たちは二度くらい合わせたのみだったし、声の節約もあり当日は本番まであわせもなし。しかし今晩の最高潮はこの二曲だったと思う。 

アンコールに中田喜直の「アマリリス」。もう疲労でこれ以上歌えないのはお客様もご存知だった。 
ドリンクバーとスナックを出した階上の部屋ではお褒めやポジティブな感想をたくさん頂いた。 

良いソワレだったわ、とご高齢のマダムにも、また知らない若い男性にも、知らないご夫婦や友子さんの友人の方に挨拶される、楽しんでくれたのが良く分かり、全くこれ以上の褒美はない。ぴかぴか(新しい) 
お客様もこの寒波にもかかわらずまあまあの入りで、トントンの収支だったこともありがたかった。